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PARC Audio ウッドコーンについて(2)



今日はウッドコーンについて続編です。

ウッドコーンの材質について、よく質問を受けることがあります。他の材料はどんな音がしたのかとか、どの材料がベストだったか等、皆さんのウッドの材料に関してのご興味はかなり強いように感じます。

そこで最初に結論を言ってしまうと、現在使用しているサペリというマホガニー系の材料にした最大の理由は量産性です。もっと平たく言えば、他の材料もトライはしたものの、安定して量産ができる材料という意味でこのサペリ以外は難しかったということです。すみません、つまらないオチで・・・。

では何故これしかうまく成形ができなかったかと言うと、それは前回お話したようにPARC Audioの成形法が出来るだけ素材の木材にいろいろな前処理をしないようにする事を最優先としているため、結果として使える材料に限りが出たということだと思います。実はウッドの成形というのは非常にデリケートで、ちょっとしたことで変形や歪が出たりするのです。

もともと今回のウッドコーンは一般のクラフトユーザー層を対象として企画したので、極端に材料費や加工費が高くなることを避けたかったということもありました。
また17cmクラスの比較的大型サイズも商品展開を同時にしたかったので、その点でも良好な量産性を最優先にして開発を進めたわけです。

結果として今回採用したサペリ材は、成形性も良く、木目の外観も比較的綺麗(これについては個人差があるかと思いますが)で、音質も期待に十分応えてくれるもので、価格を考慮すれば当初の目標はクリアできたと感じています。

ところでPARC Audioのウッドコーンにも欠点はあります。その欠点は、やはりウッド表面の平坦度や外観です。当社と比べると、V社製は本当に表面が美しいですね。表面の綺麗さで言えばうちの完敗だと感じています。
それでもフェスタであったV社の関係者の方は、「あれでもまだ営業からは木目のバラツキを無くせって言われるんですよ。」とぼやいておられました。やはり大手メーカーは品質基準が高いから大変です。

この外観問題は、PARC Audioのウッドコーン製法ができるだけ素材の木材らしさを残したいとの考え方であり、余計な接着剤やコーティング材等を最低限に抑えていることが主要因であるため、ある程度仕方が無いことではありますが、正直なところこれがソニーだったら絶対に外観はOKになっていなかったと思います。ちなみに私がソニー時代にいろんな部品ベンダーさんに言われましたが、本当に外観に関してはソニー基準がダントツに厳しいのです。裏話ですが、マネージャーとして決定を下す時に一番神経を使わされたのは、音決めではなくデザイン決定や量産の外観限度品の設定でした。

でも逆の言い方をすれば、この辺がうちのような小さなガレージメーカーの強みであり、思い切って割り切るところは割り切り、メリハリをつけられるということなのです。PARC Audioの設計手法の根底には、これ以外にもいろんなところでこの良い意味での割り切りをするようにしています。つまり減点法ではなく加点法できるだけ長所を最大限に伸ばすようにし、とにかく他社にない個性を持たせたいと考えています。

それともうひとつの弱点が耐熱や耐湿等の耐環境性です。もちろん、一般の家庭での使用環境では全てのテストをクリアしているので問題はありませんが、例えばこれをカーオーディオとして使用できるかと言えばかなり厳しいです。車載での環境では、100℃での動作保証をする必要があり、これをクリアするためにはどうしてももっと強力な耐熱性接着剤の使用が必要となります。まぁもともとの商品企画が車載用は考えていないので、この点は欠点ということにはならないかも知れませんが・・・・。

最後にちょっとマル秘情報を言うと、ウッドコーンの開発は国内独自開発と中国メーカーとの共同開発の2種類を並行して進めていました。現在量産で使用しているものは実は中国メーカーとの共同開発のものですが、これを採用した最大の理由は金型等の設備関係の理由からです。つまり現在のタイプは中国の金型がある程度流用できるので、初期投資費用が少なくすむのです。今回一気に5モデルも発売したので、やはり全てを自社型だけで行うにはかなり無理がありました。もしそれをやると、おそらく金型代の償却費の関係で販売価格がかなり上がってしまったでしょう。この辺は、うちのような小さな会社の厳しいところです。もちろん、開発に関しての基本的な考え方(進め方)はこちらからの方針で進めましたし、材料や接着剤、コーティング剤、各種成形ノウハウ等もこちらから提供しつつ、うまく現状の彼らの設備を流用して完成させたということです。

つまり今回のウッドコーンは、日本で開発していた基本的なウッドコーンに関するPARC Audioのノウハウと中国メーカー側の製造面での協力で完成した合作と言えるのです。そのため、一部の特殊な接着剤やコーティング剤は日本から支給していますが、この接着剤やコーティング剤を中国に運ぶのが実はすごく大変なんです。と言うのは、接着剤は危険物なので普通に飛行機で手荷物として持ち込むことができないのです。


また国内独自開発のタイプも決して諦めたわけではなく、今後のウッドコーンの販売動向によっては、ウッドコーンの上級タイプとして皆様のお目にかかれることもあるかも知れません。このタイプの詳細についてお話することは今は出来ませんが、現状のものより更にPARC Audioの独自性が強まっていることは言うまでもなく、またその外観もかなりインパクトのあるものとなっています。PARC Audioのビジネスが皆様のご支援で順調に伸びていけば、これが量産できる日が来るかも知れませんね。

書いていて、何か言うべきことが沢山抜けているような気もしますが、思い出した時にまた随時追加していきたいと思います。では今日はこの辺で。




この記事へのコメント

むらかみ 2008.3.17

8cmのスピーカーについて

匠シリーズという木球スピーカーが出ましたが、使用しているのが貴社のウッドコーンというのは、最良の選択だと思います。実は私も、同じような木球スピーカーを作りました。しかし、ちょっと小さいために貴社のウッドコーンSPが入らず、泣く泣く別のものにしました。8cmのスピーカーの標準?が何なのかは分かりませんが、FostexとかTnagBandと同じサイズだと、簡単に交換が出来るので、ユーザーも増えると思います。それからもう一つ、エッジを、コーンの後ろに貼るようには出来ないでしょうか?美しい木の面が少しでも大きく見えると良いと思います。特に8cmのものは、小さいので、デザイン的にずいぶん映えると思うのですが、いかがでしょうか。

PARC 2008.3.17

8cmウッドコーンについて

むらかみ様



コメントありがとうございました。

8cmウッドコーンのフレームが他社の8cmフレームと互換性が無いことは当社でも気にしているのですが、残念ながら互換性のある良いフレームが今のところ無いため現在のものを使用しています。



ただ互換性の無いかわりに、8cmのフレームとしては非常にしっかりとした構造になっており、音質面では他社比でも十分優位差が出ているのではと感じています。



エッジを裏貼りにする件は、おっしゃる通り小口径ユニットでの見た目のメリットは大きいと私も感じています。ただ、生産上エッジの裏貼りはいろいろとやっかいなことがあり、エッジ形状にも制約が付くため今回は採用しておりません。今後の新機種で機会があればトライしてみたいと思います。



貴重な提案ありがとうございました。

盛田 2008.3.17

木の魅力

>木目のバラツキを無くせ

というお話を読んで「曲がったキュウリは価値が下がる」って話を連想しました。木なんだから木目にバラつきがある方がかえって信用できるというか、魅力的な気がするんですけどねー。

PARC 2008.3.18

木のバラツキに関して

盛田様



コメントありがとうございました。

確かにおっしゃるように、自然材だからこその良さが木にはあると思いますし、バラツキもその中の一つだと考えたいですね。



でもメーカーとしてはこのバラツキを認めるということは結構大変なんですよね。その意味で、最初にウッドコーンを商品化したビクターの英断には一人のスピーカーエンジニアとしてエールを送りたいと思います。

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