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マグネットの着磁方向について

こんにちは。今日はマグネットの着磁方向について面白い話があったので書いてみたいと思います。

 

きっかけは先日あるお客さまからのお問合せでした。



電話によると、そのお客さまは使用する各ユニットのマグネットの着磁方向を揃えることに拘られており、いつも購入前に店頭で小型コンパスを持参して着磁方法を確認されているとのこと。

今回のお問合せは、たまたまリピートで同じPARCのユニットを購入しようとしたら、店頭のものと自宅のでは着磁方向が逆になっているようなので、理由を知りたいとのことでした。

 

その時の私の回答は、     



「通常ユニットの着磁方向はフェライトの外磁型ではみんな同じです。

また生産ラインでも通常着磁機の着磁方向は設定を変えることは無いので、量産品で着磁が逆になることは非常に考え難い。

もちろん、本当に逆になっているものがあるのであれば、弊社で再着磁をして直させていただきます。」

 

というものでした。

 

のお客さまは、「店頭で再確認をして問題があるようであればまた連絡します」とのことでしたが、その後ご連絡は無かったので、やはりこの件は小型コンパスでの測定の誤差だったのかと思いますが、実はその時の私の回答も完全には正確ではなかったのです

 

 

 

先ずスピーカーユニットには着磁に関係する下記のようなJISの規定があります。

1)ユニットを伏せて端子を手間に見た時に、右側がプラス端子になること。

2)プラス端子にプラス入力をした時に、振動板が前に動くこと。



このルールはJISなので、海外製では違うものもありますが、多くのモデルがこれに対応しており、PARCももちろんこれに合わせています。有名な例外モデルでは、JBLがプラス入力で振動板が後ろに動いていましたね。(最近は変わったとの話もあるようですが)

 

 

さてここで本題ですが、上記ルールを守るためにはマグネットの着磁方向とVCの巻き線方向(引き出し方向)を一定にする必要があります。

つまり、VCの巻き線方向(引き出し方向)が一定であれば、自動的に着磁方向も外磁型なら全て同じにすることになります。

 

そこで今回の件で、一応念のため取引先のユニットベンダーやユニット設計者などにこの件で話を聞いてみました。

当然着磁方向をいちいち変えることなど一切していない、という回答を期待していたわけですが、実はそうではないところがあって、非常に驚きました。今更ですが、私が今まで思っていた常識にも一部間違いがありました。つまり一部のメーカーで例外があったということです。それをまとめると下記になります。

 

1)JVC、ソニー(AR)、A社、B社

 着磁方向は、外磁型は全て同じ。製造ラインでも機種ごとの着磁方向の変更は行わない。(内磁型は別)

  VCは複数社から購入しているが、巻き線方向などは合わせている。

 

2)C社

 VCはいろいろなベンダーから購入しているので、巻き線方向はモデルによって違うことがある。

  そのため購入するVCメーカーによって巻き線方向が変わることがあるので、着磁方向を機種ごとに変えることで極性を合わせている

  VCはいろいろなベンダーから購入しているので、巻き線方向はモデルによって違うことがある。

  製造ラインでは、外磁型でも機種ごとに着磁方向を指定している!



JVCとソニーの場合は私が実際にいましたので実名にしましたが、他は一応固有名は出さないようにしました。

ただもちろん、これらの情報はその会社にいたベテランのエンジニアに確認した内容なので、間違いはないと思います。

 

30年以上ユニットの設計をやっていて、外磁型で着磁方向の指定などしたことは一度も無かったですが、いろいろなVCメーカーと取引をしているユニットメーカーの中には、着磁方向を変えることで対応をしているところがあるということを初めて知り、本当に驚きました。(^^;

 

ちなみに上記のA,B社のエンジニアの人も私と同様に驚いておりました。「えぇ、量産ラインで着磁方向を変えているメーカーがあるのですか? それはびっくり! よく現場で管理できますねぇ。 うちでそんなことをしたら、製造から怒られちゃいますね。」といった感じです。



ということで、外磁型ユニットでも一概に着磁方向が同じとは言えないというのが正解のようですので、各ユニットからの漏洩磁束などが気になって、いろいろなメーカー製のユニットを混在して使う方は、一度チェックされるのも面白いかも知れません。私自身は、ユニット間の漏洩磁束の影響は、よほどユニットを近づけない限り無視できるとは考えていますが。



それから大事な話ですが、今回確認した全てのメーカー(もちろんPARCも)では最終ラインで極性チェックは全数チェックされていますので、着磁方向とは関係無しにユニットの極性自体は合っていますのでご安心ください。

 

ただその他のあやしい中国ベンダー製などは、全数極性チェックをやっていないところもあるようなので、この辺は要注意かなぁ。TW以外なら、乾電池で簡単に極性チェックはできるので、気になる方は一度お試しを。

この記事へのコメント

GX333+25 2012.6.10

PARC 様

 考えたことさえなかったなぁ~、と驚くばかりでした。最近、JIS規格はあちこちに顔を出してくるので気にはしていましたが、そんなところまで規定していたとは……見えないところで生活を支えてるんですねぇ~。

 出てきたついでで、先日ハーマンの人に聞いたところ、JBLも最近いろいろと変更が多いとか。エッジもウレタンエッジでないものが増えているし、2way+スーパートゥイーターという構成に近いラインナップも増えているとか。ところが、その真ん中にあるコンプレッション・ドライバは「はい、最近は4インチに大きくしました。振動板はマグネシウムですが、あえて厚くして剛性を高めています」とのことでした……。

parc 2012.6.10

GX333+25様

>「はい、最近は4インチに大きくしました。振動板はマグネシウムですが、あえて厚くして剛性を高めています」とのことでした……。

JBLもベリリウムを止めてマグネシウムに変えたのですね。音質以前に企業としては当然ではないかと思います。やはりあれは有毒であり、今時家庭用の製品で使うのはとんでもないことだと私は思いますね。

そう言えば、最近知ったのですが、ヨーロッパ製のカー用ドームTWでベリリウムを金網無しで使っているモデルを見かけましたが、環境や安全に最も厳しいヨーロッパであのようなモデルが販売されているとは本当に驚きました。

MTKR 2012.6.11

匿名で投稿する事をご了承ください。
大変興味深いお話です。
以前スピーカの、ある設計者の方からVcの巻き方向を逆にすると音まで変わってくると言う話しを思い出しました。(具体的にどう変わるかは聞いていませんでした。)
当時は、そんな事本当にあるかな?程度に軽く聞き流していましたし、遊び半分で実験したんだろう、くらいしか思っていませんでした。
Vcメーカーの都合ではなく、あえて設計者の意図として逆にすることってありなんでしょうか?
勿論、一般ユーザーとしては、そんなとこを確認するなんて不可能なのですが。
ブログにも有りますように、製造現場の混乱を招くだけかもしれません。
先人の知恵で今の仕様に落ち着いているのだとは思いますが、ちょっと気になったものですから、投稿しました。

parc 2012.6.11

MTKR様

>匿名で投稿する事をご了承ください。

ニックネームさえあれば十分ですので、ご心配なさらないでください。

>ある設計者の方からVcの巻き方向を逆にすると音まで変わってくると言う話しを思い出しました。Vcメーカーの都合ではなく、あえて設計者の意図として逆にすることってありなんでしょうか?


実は私も知らなかったのですが、今回VCベンダーさんに聞いたところ、ユーザーから巻き線方向の指定が結構あって、VCを製造する時も苦労しているとのことでした。

私自身はこの件に関しては自分で確認したことがないので何とも言えませんが、昔ある国内大手メーカーがVCはとにかく1層巻きが音がいいとのことで、通常の丸線でも1層巻きでやることがあるというのは聞いたことがあります。

要は巻き線がGAP内で行って帰ってくるのが良くないとのことだそうです。感覚的には、巻き線方向よりも、こちらの方が影響はあるような気がしますね。ただ、丸線を1層巻きでやる場合、GAP的にはかなり無駄になるので、量産でそこまでやるかどうかは微妙ではありますが。

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