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ユニット調整法(マグネット編)

こんばんは。今日は久しぶりに技術ネタです。

 

以前付加マスを中心としたユニット調整法を紹介しましたが、今回はマグネット関連についてです。

 

ご存知のようにマグネット(磁気回路)はスピーカーユニットの力の源泉であり、ユニットの特性に大きく影響します。

 

既に出来上がったユニットのマグネット(磁力)を後から変化させる方法には大きく分けて、下記の2つになります。

(ただし内磁型のアルニコマグネットや、バックカバー付きの防磁タイプのユニットは対応不可です)

 

1)外磁型の磁気回路を一部ショートして、磁力を落とす

これは写真のように、マグネットの外側に鉄ネジなどの磁性材をくっつけて、外磁型の磁気回路で外側に磁気のショート回路を作ることにより、磁気ギャップ部の磁束を落とします。

 

M4-20のビス22個を付けた状態

 

 

 

M4-20のビス32個を付けた場合

 

下図が実際にビスでショートさせた時の特性データです。

実験に使ったモデルはPARCユニットの中では強磁タイプに属する赤パークことDCU-F122Wで、バスレフポートのチューニングズレを避けるため、わざと密閉にして測定しています。

室内での簡易測定ですので、再現性の無い80Hz以下は無視してください。

 

特性を見ても分かるように、ビスの数量が増えるにしたがって200Hz以上のSPLが全体に落ちていますね。

これは磁束がマグネット外側のビスを経由して流れることで、磁気ギャップ部の磁束が落ちることにより、結果としてSPLが落ちているのです。

 

ただここで注意することは、磁束が落ちることで全体にSPLが落ちるわけではなく、200Hz以下では逆にSPLは上がっています。

これは磁束密度が落ちることで、磁気制動が下がり、低域のQが上がるため起こるのですが、以前紹介した付加マスの時と似ていますね。

 

 

 

この方法は一般的な外磁型の磁気回路であれば、誰でも簡単に実験できますので、一度試してみてください。

これはバックロード用などの大型マグネットを用いた磁気制動の強いユニット(能率は高いけど、音が前に出すぎてちょっと中高域がうるさい、などという場合)に有効です。

 

特製図でも分かるように、これをやると中高域が落ちて、逆に低域付近が少し上がりますので、結果として相対的によりおとなしく、低域の量感の出る方向になります。

 

ただし、やり過ぎると馬力感の無い精彩を欠く音になったりもしますので、徐々に増やして様子を見てください。

また、仮実験は別として、最終的にビスはしっかり接着なりテープで固定するなりしてください。そうしないと、ビスがびったりして、音質調整以前の話になりますので。

 

2)サブマグネットを追加して、磁束密度を上げる

この方法は上記とは逆に磁束を上げるものですが、上記の下げる方法よりは磁束の変化率は少なく、磁気回路の状態にもよりますがだいたいSPLで0.5dB~1dBくらいの変化ではないかと思います。

 

今回F122Wは既にサブマグネットが固定されているので、実測はできませんでしたが、特性変化は上記実験の逆で、マグネットを追加すると低域周りが落ちて中高域が全体に上がるため、相対的にパンチの効いた元気な方向になります。(ただし低域の量感は減る方向になりますので、箱を大きくしたりしてそれを補う必要があります。)

 

以上がマグネット周りの調整方法ですが、ユニットの初期設計などでマグネットの適正サイズのあたりを早く付ける手法としてよく使われるものです。というのは、マグネットサイズの違う磁気回路を最初から数種類作るのは試作費用がかかるので、最初は少し大きめに作っておいて、徐々にショートしていってバランスを見ていくというやり方です。

もちろん、マグネットサイズから紙上でパーミアンスの計算を行い磁束やSPLを計算することは可能ですが、それだけで音質やバランスを判断するのはなかなか難しいのが実情なんですね。

やっぱりスピーカーは音を聴いてナンボなんですねぇ・・・。では今日はこの辺で。

この記事へのコメント

GX333+25 2012.3.14

PARC 様

 お久しぶりです。インフルエンザの猛威が伝えられる中、お元気でお過ごしでしたでしょうか?

 拡大しても老眼の目にはちょっと辛いグラフ上の差ですが、やはりそこは「音を聴いてナンボ」なんでしょうね。たしか今もロングセラー中のFE103/203Σがああいった「大技」を使って、故・長岡鉄男氏が絶賛するユニットになったのは、用途と音の方向性がはっきりした結果だったのでしょうね。

 しかし、磁石の外にビスを貼り付けることでこんなに変わる、というのは、(言われてみれば当たり前かも知れませんが)やはり驚きでした。

 とすると、キャンセルマグネットをつけて防磁型のユニットに仕上げるためには、素のユニットの設計時からきちんと考慮して設計しなければならないから、難しさもひとしお、なんでしょうか?

parc 2012.3.14

GX333+25 様

>キャンセルマグネットをつけて防磁型のユニットに仕上げるためには、素のユニットの設計時からきちんと考慮して設計しなければならないから、難しさもひとしお、なんでしょうか?

通常、防磁タイプの設計をする場合は、最初からキャンセルマグネットやバックカバーを付けた状態で調整を行うのが一般的かと思います。設計途中でキャンセルマグネットを追加したりするとバランスが変わって再調整になってしまいますから。

GRMN133 2019.1.17

お邪魔します。

サブマグネットを追加する際は
磁石が反発する方向で取付けるのでしょうか?

キャンセルマグネットの場合も同様でしょうか?

質問ばかりですいません・・

parc 2019.1.19

GRMN133様

サブマグネットもキャンセルマグネットも同じものですが、磁石は反発方向で付けるのが基本です。

平たく言うと、サブマグネットの反発磁力で、メインマグネットから漏洩している磁界を無理やりメインマグネットの磁気回路に押し戻す、と言えば分かりやすいかもしれません。

GRMN133 2019.1.23

とても納得!な説明ありがとうございます。

ところで
今、F125Wを使っているのですが
もう少し高域を出したく
T114Sを追加しようかと考えています。

コンデンサ1個のハイパスでT114Sを追加する際
各ユニットのインピーダンス差は気にしなくて大丈夫でしょうか?

parc 2019.1.24

GRMN133様

>各ユニットのインピーダンス差は気にしなくて大丈夫でしょうか?

基本的には問題ありません。
ただWF側のインピーダンスが高くなるほど、TWとのレベル差的には厳しくなるので、場合によってはTWにATTでの調整が必要になる場合はあります。

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